子宮筋腫の治療の選択肢である子宮動脈塞栓ってなに?

女性特有の病気として知られている子宮筋腫。

そんな子宮筋腫の治療法としては、子宮摘出や筋腫摘出、ホルモン療法などが知られています。

そんな子宮筋腫の治療方法のなかであまり知られていない子宮動脈塞栓術という方法があります。

今回は、あまり知られていない子宮動脈塞栓術とはどのようなものなのか、メリットやデメリットなどについてご紹介していこうと思います。

ぜひ、参考になさってください。

子宮動脈塞栓術ってどのような治療?

まずは、子宮動脈塞栓術はどのような治療をするのか、ご紹介していきましょう。

子宮筋腫は、子宮動脈から栄養を得て大きくなっていきます。

そこで、子宮動脈塞栓術はこの動脈を一時期に塞いで筋腫を小さくする治療法です。

ですから、子宮はそのままで症状の改善や痛みの緩和が期待できる治療法なのです。

手術の方法としては、足の付け根からカテーテルを入れて子宮動脈に塞栓物質を入れます。

血管が詰まると栄養や酸素が運ばれない筋腫が壊死します。

すると変形して小さくなっていくのです。

ですから、1年後には筋腫が元サイズの30~40%ほど小さくなっています。

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子宮への血流が滞っても大丈夫?

そこで気になることといえば、子宮への血流が滞ってしまうのは大丈夫なのかということです。

子宮自体は子宮動脈から約80%、その他の毛細血管から約20%の血液を受け取っています。

ですから、子宮動脈塞栓術で血流が滞ったとしても一時的なものなので影響はありません。

血管をつまらせるために使う塞栓物質はゼラチンスポンジなので自然に溶けて、時間と共に血流がもとに戻ります。

そして、治療前と同じ状態に戻るのです。

子宮動脈塞栓術を適用するのはどんな人?


出典:http://www.koiwa-ladies.com/index.html

では、子宮動脈塞栓術を適用されるのはどのような状態の人なのでしょうか?

まずは、子宮筋腫があって、それに伴う症状として月経過多や貧血、月経困難症などの症状がある人です。

この子宮動脈塞栓術の治療後に正常に妊娠出産をした人もいますが、妊娠に与える影響がまだはっきりとわかっていないので妊娠を希望している場合には適用されないことが多いでしょう。

閉経後や妊娠している人、骨盤内に感染のある人なども適応できません。

子宮筋腫の大きさや症状などによって、従来の開腹手術で子宮全摘出を考える場合、開腹手術を希望しない人や子宮を温存したいと希望する人にとっても選択肢となります。

子宮動脈塞栓術の効果はどのくらい?

では、子宮動脈塞栓術の治療を行った場合には、どの程度の効果が期待できるのでしょうか?

治療を受けた85%以上の患者さんが子宮筋腫が原因の月経過多や不正出血、疼痛などの症状が改善しています。

子宮筋腫自体も平均で半分以下の大きさになっています。

ホルモン療法によっても筋腫を小さくすることがありますが、ホルモン療法をやめると再び大きくなりますが、この治療法で小さくなった筋腫は再び大きくなることはありません。

子宮動脈塞栓術をするとどのくらいに費用がかかるのか?

子宮動脈塞栓術を行う場合には、入院期間は4日ほどになります。

治療した2日後には退院できて、その直後から日常生活も送れますし、仕事も問題はありません。

日本では、子宮筋腫の治療法として子宮動脈塞栓術は保険適応外となっています。

ですから、医療費は自費診療となり、入院料や検査料、手術料、麻酔料、薬などすべて含んで40万円ほどします。

一般的に行う子宮全摘出手術の場合は、保険適応で10日間の入院で25万円から30万円になります。

ですから、さほど高額というわけでもないと言えます。

子宮動脈塞栓術の気になる副作用や合併症は?

それでは、最後に子宮動脈塞栓術による副作用や合併症についてもご紹介しておきます。

まずは、塞栓後症候群です。

重い月経痛のような下腹部痛や発熱、おう吐などの症状が起こります。

下腹部痛は数時間続きますが治療当日に点滴で鎮痛時を使用して痛みをおさえます。

その後も軽い下腹部痛があることもあります。

そして、卵巣機能の低下も考えられます。

塞栓物質が卵巣側に流れると卵巣機能が手活けして無月経になることもあります。

これどもほとんどの場合月経は回復します。

ほかにも、筋腫分娩や感染症などがおこることもあります。

子宮筋腫の治療の選択肢である子宮動脈塞栓についてのまとめ

いかがでしたか?

今回は子宮筋腫の治療の選択肢である子宮動脈塞栓についてご紹介してまいりました。

子宮筋腫の治療法としては、投薬治療や手術などが一般的です。

けれども、開腹手術をせずに治療できる子宮動脈塞栓という治療法があることも知っておきましょう。

こちらは残念ながら保険適応外となっていますが、入院期間が短いことや仕事復帰が早いことなどもメリットと言えます。

病院によってこの治療が受けられない場所もありますし、患者さんの状態によっても適応されない場合もあります。

ただ、この治療法があることを知っておくことで選択肢の一つにいれることができます。

子宮筋腫の治療を悩んでいる場合には、医師に相談してみるとよいでしょう。